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延髄 〔語彙分解〕medulla oblongata : [medulla] ・medulla : 1.髄質 2.骨髄
延髄(えんずい、羅: )は、脳の一部であり、中脳や橋と共に脳幹を構成する。脳幹のうちもっとも尾側の部分であって、吻側に橋、尾側に脊髄がある。後頭骨に開いた大後頭孔という穴を通る。背側には下髄帆を挟んで小脳がある。嘔吐、嚥下、唾液、呼吸および循環、消化の中枢を含み、生命維持に不可欠な機能を担っている。 ==発生== ==解剖== 体表から見ると、延髄は後頭部と首の境目あたり、すなわち俗に盆の窪(ぼんのくぼ)と呼ばれる位置にある。この位置は、頭を挙げた普通の姿勢では頭蓋骨と頸椎に覆われているが、頭を落としてうつむくと、体表までの間に骨で覆われない部分ができる。その部分では延髄を守るものが軟部組織だけなので、外傷が延髄の損傷に結びつきやすい。 延髄は見た目上、脊髄の続きであって、脊髄と同様の構造を多く持ち、脊髄との間に明瞭な境界はない。腹側面正中の前正中裂は脊髄の前正中裂から続いているし、その左右の錐体は脊髄前索から続く部分の肥厚である。錐体は錐体路をなす運動線維が集まった部分である。錐体の尾側では、錐体を通っていた線維が前正中裂をまたいで対側の側索に流れ込む。このため、前正中裂は中断される。この部分を錐体交叉と呼ぶ。錐体交叉は錐体路をなす線維が対側に移る部分であり、これがあるために錐体路は対側支配である。ただし錐体路の一部は錐体交叉で交叉せず同側の前索を下る。錐体の外側には、前外側溝を境に、オリーブと呼ばれる隆起がある。オリーブは下オリーブ核による隆起である。錐体とオリーブの吻側は橋である。橋の前面には横橋線維と呼ばれる線維が横走しており、延髄とは明らかに区別される。 延髄の背側面正中にある後正中溝は脊髄の後正中中隔、橋の正中溝とつながっている。後正中溝のすぐ外側、すなわち脊髄後索の続きにあたる部分は内側の薄束結節と外側の楔状束結節に分かれて肥厚している。楔状束結節の外側縁をなす後外側溝は脊髄の後外側溝とつながっている。薄束結節は薄束核、楔状束結節は楔状束核による隆起だが、これらの核は同種の機能を担うので、まとめて後索核と呼ばれることがある。後索核の外側は延髄全体の外側面にあたる部分で、ここに明らかな隆起はないが三叉神経脊髄路核(三叉神経脊髄核)が入っている。薄束結節と楔状束結節の上端は下髄帆が起こる線(第四脳室ヒモ)であり、この線は正中やや尾側からV字型を描いて両側の下小脳脚に至る。このV字型の線は菱形窩の下半分を作っている。菱形窩の中には、薄束結節のすぐ上方に迷走神経三角、さらに上方に舌下神経三角、楔状束結節のすぐ上方に前庭神経野と呼ばれる隆起がある。迷走神経三角は迷走神経背側核と孤束核、舌下神経三角は舌下神経核、前庭神経野は前庭神経核による隆起である。それらの隆起のさらに上方で、第四脳室髄条と呼ばれる数本の糸のような隆起が菱形窩を横切って走り、脳幹の背面において延髄と橋をおおよそ分ける目安となる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「延髄」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Medulla oblongata 」があります。 スポンサード リンク
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